ロタウイルスの症状と治療、予防接種について(ロタテック、ロタリックス)

ロタウイルスとは?

生後6カ月~2歳までに多い

ロタウイルスは、乳幼児の急性重症胃腸炎の主な原因ウイルスとして知られています。
5歳までの急性胃腸炎の入院患者のうち、40~50%前後はロタウイルスが原因です。

特に生後6か月〜2歳までに多く、胃腸炎症状が重症化しやすいウイルスです。

感染すると、2〜4日の潜伏期間(感染から発病までの期間)の後、水のような下痢や嘔吐(おうと)が繰り返し起こります。
その後、重い脱水症状が数日間続くことがあります。発熱や腹部の不快感などもよくみられます。

合併症として、けいれん、肝機能異常、急性腎不全、脳症、心筋炎などが起こることがあり、死に至る場合もあります。

ロタウイルスの種類

ロタウイルスの中にもいくつか種類があります。

ヒトに感染することがわかっているのはA、B、C群の3つで、一般にロタウイルスといえばA群を指します。

B群は以前に中国で流行しましたが日本ではみられません。
C群ロタウイルスによる胃腸炎は主に3歳以上の年長児や成人にみられ、A群のような大規模な流行はほとんどありません。

ロタウイルスの主な症状

ロタウイルスは感染力が強く、ごくわずかなウイルスが体内に入るだけで感染してしまいます。

感染すると、白色で酸っぱい匂いのする大量の下痢が1週間ほど続くのが特徴です。
初期に嘔吐や発熱を伴うこともあります。

脱水症状がひどくなると点滴が必要となったり、入院が必要になることがあります。

ロタウイルスの合併症

嘔吐、下痢による脱水が最も大きな合併症で、その他、痙攣・脳症・腎不全・腸重積などの合併症を引き起こす危険もあるため注意が必要です。

大人がロタウイルスに感染したら?

5歳までにほぼすべての子どもがロタウイルスに感染すると言われており、大人は感染を何度も経験しているため、症状が軽く済む場合が多くなります。

しかし、乳幼児がロタウイルスに感染すると激しい症状が出ることが多く、特に初めて感染した時は症状が強く出ます。

ロタウイルスの診断・治療

ロタウイルスの診断

多くの場合は、便の色や下痢などの臨床症状から診断が可能です。

ウイルス感染によるものであり、ウイルスに対する特効薬はありません。
脱水予防、脱水に対する治療が基本となります。

ロタウイルスの治療

とても危険なロタウイルスですが、現在は感染を防止したり、感染しても症状を和らげるためにワクチン接種を行うことができます。

しかしその推奨期間は短く、乳児のうちに接種しておかなければならないというデメリットもあります。

ロタウイルスワクチンの予防接種

日本でも、2011年秋に「ロタリックス」、2012年8月に「ロタテック」の予防接種が可能になりました。
どちらもロタウイルスを弱毒化した内服生ワクチンです。
欧米では数年前に導入され、ロタウイルス腸炎は劇的に減少しました。

2歳未満のこどもがロタウイルス腸炎に罹ると10人に1人は入院が必要であり、重症化しやすいため、ワクチン接種をお勧めします。

ロタリックス

「ロタリックス」はヒトロタウイルスのため免疫がつきやすい特徴があります。

効果

このワクチンはG1P[8]1種類のロタウイルス株のワクチンですが、他の種類のロタウイルス(G2P[4]、G3P[8]、G4P[8]、G9P[8])に対する予防効果も認められています(ほとんどのヒトロタウイルス胃腸炎に有効です)。

国際的な研究では、重症ロタウイルス胃腸炎には96%の有効率を示し(欧州6カ国の成績)、すべてのロタウイルス胃腸炎に対しては82%の有効性(シンガポールの成績)という報告があります(その他にも、いくつもの報告があります)。

対象年齢 生後6週0日〜24週0日
→1回目:生後6週〜20週0日
→2回目:〜24週0日
接種回数 2回(4週間以上の間隔をおいて)
特徴 ・1価のワクチン(1種類のウイルスが入っている)
・初回ではこのワクチンの型しか免疫が獲得されない
・2回接種することで、他の型への交叉免疫も獲得される
メリット 接種回数が少ないので、スケジュールを組みやすい
デメリット 2回接種しないと他の型への免疫は獲得できない
接種期間が24週と短い
材料ウイルス ヒトロタウイルス(G1P[8])を弱毒化
ウイルス量 106個(ヒトロタウイルスなのでよく繁殖する)
周囲への感染
(腸からのウイルス排せつ量)
多い(ヒトロタウイルスなのでよく繁殖)
腸重積との関連 なし

 

ロタテック

効果

「ロタテック」は、G1、G2、G3、G4、P[8]が含まれているため、ヒトに病原性を持つG1P[8]、G2P[4]、G3P[8]、G4P[8]、G9P[8]の全てのロタウイルスをカバーした予防効果が認められています。

国際的な研究では、重症ロタウイルス胃腸炎には98%の有効率を示し、入院を94%減らし、すべてのロタウイルス胃腸炎に対しては74%有効だったという報告があります(Vesikari,etal.NEnglJMed2006;354:23-33.)(その他にも、いくつもの報告があります)。

対象年齢 生後6週0日〜32週0日
→1回目:生後6週〜24週0日
→2回目:〜28週0日
→3回目:〜32週0日
接種回数 3回(4週間以上の間隔をおいて)
特徴 ・5価のワクチン
・初回から5つの型への免疫が獲得できる
・3回飲むことで、免疫がより確実になる
メリット 3回飲むので免疫がより確実になる
デメリット 32週まで接種することができる
病院へ行く手間は1回多い
材料ウイルス ウシロタウイルスのV7に、ヒトロタウイルスのG1,G2,G3,G4を組み入れたリアソータント(遺伝子組み換え)のウイルス4種と、ウシロタウイルスVP4にP[8]遺伝子を組み込んだリアソータントのウイルス1種の計5種のウイルスを混ぜてある
ウイルス量 10^7〜8個(ウシロタウイルスでヒト腸内での繁殖が悪いため、ワクチンのウイルス量を多めにしている)
周囲への感染
(腸からのウイルス排せつ量)
少ない(ウシロタウイルスなのでヒト腸内での繁殖が悪い)
腸重積との関連 なし